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三郎がおかしい行動をしたのは、結構前のことだったと思う。
その日たまたま三郎が数学の教科書を忘れて、たまたま兵助のクラスも雷蔵のクラスもその日に数学がなくて、回り回って俺のところまで教科書を借りにきた三郎。
なんで教科書借りる側な三郎にすっげー嫌な顔されなきゃなんねーんだよ、なんてその時はブチブチ言った記憶がある。
俺はその日の午後一番に数学があったから、午前の最後に授業があるって言った三郎に昼休みに返してもらえるならって教科書を貸したんだ。
その時は三郎も「おう」って言ってそのまま教室を後にした。
で、教科書返しに昼休みに来た時には、なんかおかしかった。
挙動不審って言うか、教室の出入り口で中を伺ったりそわそわしたりしてて、何だこいつ?って思ったことも記憶してる。
実際、本当に挙動不審で、雷蔵も兵助も昼を一緒に食べるからその場にいたんだけど、何こいつって目で三郎を見てた。
でも、気付いたら普段の三郎に戻ってたから、ああまた何か企んでんのかな?くらいにしか思ってなかった。
だから最初は気付かなかった。
三郎が何であんなに挙動不審だったのか。
何で教室の中を伺っていたのか。
何がそんなに気になったのか。
その後も別段目立つほどに三郎がおかしくなった日は、あの日を抜いては見当たらなかった。
だけど、三郎が用事があるって言ってどこかに行った後、俺達三人だけになった時に兵助から出た話題に、やっぱりあの時の三郎はすっごくおかしかったんだと再認識した。
「な、最近の三郎ちょっと変だと思わないか?」
「確かに最近の三郎の行動って今まで以上に変だよね」
「おいおい、雷蔵。まあ確かに変っちゃー変だけどよー」
一つの机を額をくっつけるかのようにして三人の男が囲んでて、はたから見たら俺達もすっげー変だったってことは認めよう。
でもそんなのも気にならないくらいに、あの時の三郎が変だったって言うのは三人の共通のものだったから気にせずそのまま話をした。
兵助が言うには、三郎はたまに何かを考えるように机に突っ伏したり、窓の外をぼーっと眺めたりしてたらしい。
雷蔵は三郎とよく行動を共にするけど、俺の教室の前を通るときなんか、特に三郎の行動が変だったって言ってた。
確か「普段何にも興味ないですって顔してるのに八の教室の前を通るときだけ、教室の中を覗こうとしたり歩く速度落としたりしてたよ」らしい。
俺もよく三郎が俺の教室を眺めてたりするのを見たことがある。
俺に用がないのに俺の教室に来たり、何となしに情報を集めようとしているのにもなんとなくだけど気付いたし。
何がしたいんだ、あいつ。
「これはきっとあれだと思うんだけど」
「俺も、あれだと思う」
「だよね?兵助もやっぱりあれだと思うよね?」
「そうだよな、やっぱあれしかないよな?」
「あれってなんだよお前ら」
さっきからあれあれ言ってて、お前らも十分変だ。
そう言った俺を、何言ってんだこいつ頭湧いてんのかって顔で見てくる二人。
てめえらケンカ売ってんのか!
「ダメだ雷蔵。はっちゃんはダメだよ」
「そうだね。でも分かっていたことじゃないかな?兵助」
「それもそうか」
「でしょ?」
「お前らはそうとう俺を怒らせたいみたいだな?」
「「そんなわけないじゃないか」」
話が進まないとばかりに切り上げられたけれど、それはないんじゃないかな?と思いながらも、俺も先が知りたい。
だから黙って兵助たちの話を聞いてた。
「きっとあれは恋患いってやつだね」
「初恋なんだよきっと!」
まさか、と言いたかったけれど、その後顔を真っ赤にして教室に帰ってきた三郎を見たら、もう何も言えなかったのも仕方ないよな?
だって考えても見ろよ、あの三郎が、だぜ?
初恋って、お前。
気持ち悪い奴だなってのが、俺の印象だったって言うのは認めるよ。
完
はっちゃん^^
酷いwwwwwww
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