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出会ったら最初に何を言おうか。
物心ついた時からの俺の悩み。
君を見つけられたら最初に何と言おう。
記念すべき最初の一言は、どんな言葉を贈ろうか。
ささいな、それでも俺にとって最上の悩みで幸せ。
こんな他人にとったらくだらない悩みだけれど、俺にとってはとっても大事なことだから。
春、入学式も終わって、さっそく君を探したよ。
サークルを見て回るという名目で、君を探し続けた。
いろいろな場所を回って、君の姿を見つけられないかと、まるで田舎者みたいにキョロキョロしていた。
大学の正面通路、桜並木の間を周りを伺いながら歩き回った。
桜を見上げては君を思い出す。
君は、伊織は、桜が一等好きだったね。
淡いピンク色。一気に咲いて、一気に散っていく様が好きなのだと、伊織は言っていたね。
プロポーズの言葉を桜の下で言ったときに、君は泣きそうになりながら、それでも精一杯笑ってくれた。
そんな思い出があるから、俺も桜が一等好きな花になったよ。
会いたいなぁ。
ざぁっと風が吹く。
桜の花びらが風に遊ばれて空高く飛ばされる。
自然と目でそれを追った。
青空に桜の花びらが映えて綺麗だ。
「伊織?」
予感があった。
何か、虫の知らせと言うのだろうか。
空へ向けていた視線を戻せば、そこに求めていたものがいる。
桜並木、桜を見上げる女の子、肩までの風に遊ばれた髪を懸命に手で撫でつけている。
目も耳も鼻も、骨格、輪郭、仕草さえ、ああ、君だ。君がいる。伊織がいる。
ああ、伊織だ。伊織伊織伊織・・・!
やっと見つけた。長かった。
十二年間ずっと探し続けたんだ。でも今やっと報われる。
伊織、君に言いたいことたくさんあるんだ。
君にしてあげたいこともたくさんたくさんあるんだ。
やっとそれが出来る。やっと君に言う事が出来る。
嬉しくて嬉しくて、仕方がない。胸が痛い。嬉しさが込み上げてくる。
伊織に向って駆けだそうとした足が一歩踏み出したところで金縛りにでもあったみたいに動かなくなった。
君の隣にいるそいつは誰だ?
君が笑顔を向けるそいつは誰だ?
ああ、君は、俺を覚えてはいないのか。
続
さ、三郎ーーーーー!!
暗い!暗いー!!でもこう言うの好き!!←
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