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契約彼氏【02】

彼女を好きだと自覚してから、私は変わったと思う。
表情が穏やかになった、人に嫌がられる悪戯をする回数が減った。
極めつけに、周りから心配されるほどに、女遊びを止めた。

今まではどちらかというと来るもの拒まず去るもの追わずのスタンスだったのに、今では近寄ってくる女は彼女以外いらないのだと、そう思って拒絶している。
雷蔵たちはそんな私に最初こそ戸惑って心配してきたけれど、やはりいい変化だったのだろう。
あれこれ言わずにそっとしてくれるようになった。
「やっと一人の人を決めたんだね」とは雷蔵の言葉だ。
少し恥ずかしかったけれど、その言葉はどこかくすぐったくて、嬉しかった。

だから、協力を頼みたかった。
私たちが本当は恋人ではなく、ただの契約の上に成り立っているのだということ。
それを私はどうにかしたかった。
彼女と本当に恋人になりたかったから。
全てを説明し終わった時は、雷蔵たちも呆れたような顔をしていたけれど、結局は協力してくれると言ってくれた。
呆れたように、頑張れと言って笑ってくれた彼らの顔はどこか頼もしかった。

「三郎が秋原に惚れるとはね。世の中どうなるか分からないもんだな」
「そう言ってやるな、ハチ。三郎だって初恋に戸惑ってるんだからさ」
「そうだよ。でも難しいなぁ。三郎の今までのこととか知ってて、しかも絶対に付き合わないって言って恋人役頼んだんだし・・・」
「これはもう、三郎が秋原に告白すればいいんじゃないかな?」
「ああ!それが良いかも!」
「それでいいじゃん。はい、解決」
「・・・お前ら、人事だと思って!協力してくれるんじゃないのかよ!?」

私の部屋で開かれた第一回目の作戦会議だというのに、みんな言いたいことを好き勝手言ってくれる。
特にハチと兵助なんて寝転んでいる時点で真面目に話す気などないと言ってるようなものだ。
友達がいのないやつらめ!

「だってそれ以外に秋原が三郎を意識することなんてないと思うけど」
「そうそう」
「うーん、難しいよねぇ」
「鉢屋はさっさと告って来ればいいよ」
「それができれば苦労してねぇよ!馬鹿!」

告白なんて、そんなのできるわけがない!
初対面から印象が悪い相手から告白されたって断るに決まってるじゃないか!
そりゃあ、半年間恋人役をしてもらっていたけれど、それは人目がある時だけで、実際には町に出かけたことすら一度もないのだ。
手を繋いだり、抱き合ったりと恋人らしいことは人目があればしたけれど、それも彼女が恥ずかしがって一度くらいしかしたことがない。
大抵は縁側でお茶飲んでお菓子食べてただけ。
これじゃあ、恋人というよりは唯の友達である。

大きなため息をついて、彼女と付き合うためにはどうすればいいのか、頭を悩めるのだった。







´▽`
 

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