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久々知君じゃなかった、・・・兵助はバカです。
大バカ者です。
付き合い始めて早一か月。
彼に殺されかけました。
「だから!私は豆腐アレルギーじゃなくて、大豆アレルギーなんだってば!殺すつもり!?」
「ご、ごめん!そんなつもりじゃなかったんだ!」
怒り続ける私の後ろを必死になって走ってついてくる兵助は、恋仲の危機だと思ったのか本当に必死だ。
少し涙目なのが彼の必死さをうかがわせる。
きっと彼もわざとそんなことをしているわけじゃないと、分かっているけれどどうにも機嫌は直らない。
だってこれでもう一か月のうちに三回目なのだ。
彼が私を殺そうとしたのは。
そりゃ、付き合ってるんだからそういうこともあるだろうって覚悟はしてたし、嫌ではない。
そう、嫌ではない。むしろ、そういうことを期待していなくもない。
だけどさちょっとは頭の片隅とかでもいいから私が大豆アレルギーだって言う事を覚えててほしいものだ。
「私とキスがしたいなら朝食で味噌汁を飲んでくるなー!!!」
しかも豆腐入りとかどういうこと!?
そんなに私を殺したいのか!!
これが怒らずにいられる!?
「またやっちゃったわけだ?兵助は」
にやにやしながら肩肘ついてこちらを見てくる三郎に軽く殺意がわいた。
うるっせーんだよ、そっとしとけよ。
ちょっとでいいから雷蔵と八を見習えよな!
「で、今回は何が原因なんだ?」
「・・・味噌汁、豆腐入りだよ」
「は?」
おいおいそれはお前、怒られるのも仕方ねーだろ、とか言いながら大爆笑してんじゃねーよ!
しょうがないだろ!すっかり忘れていたんだから!
好きな人とキスすることを考えるだけで頭真っ白になるんだから!
ああ、なんで俺はいつもいつもこうタイミングが悪いんだろう。
伊織とキスするぞ!って思ってる日に限って、朝無意識に味噌汁飲んじゃってて・・・味噌汁をやめればいいのか?
・・・そうか、今度からはポタージュとかスープにすればいいのか!
「俺、ポタージュにする!」
「は?」
「もしくはスープにする!」
「・・・ああ、朝飯ね」
天然の入った兵助の思考回路をきちんと読み取って三郎は呆れたように溜息を零した。
「ま、頑張れよ」
にやけ顔で呟いて去っていく三郎を見ながら兵助も片手をあげて相槌をうった。
さてどうやって伊織の機嫌を直そうか。
兵助は次の難題へと新たに思考を巡らし始めたのだった。
続
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