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こんなに楽しいことはない(三郎視点)

親友の久々知兵助に、好きな女が出来たのはすぐにわかった。
本人は俺たちには内緒にしてるつもりみたいだったけれど、この鉢屋三郎様にかかれば、そんなもの簡単に見破れる。
ま、今回は八も雷蔵もすぐにわかったみたいだったけれど。

なんでかって?
それはな。



・・・・・・・・あの豆腐大好きな兵助が、ある女の子の前でだけ豆腐を食べる手を休めるようになったからだ!


とまあ、そんな具合でバレバレだった兵助の恋の相手は、同じ学年の俺と同じクラス(つまりは八と雷蔵も一緒ってことで、兵助にとっては隣のクラスってことだ)の秋原伊織って女の子だ。
見た目は綺麗系というよりは可愛い系に属する彼女は、目はぱっちりしてて綺麗な黒髪で中肉中背な・・・いや、少し背は小さい方か。
ま、そんな女の子だ。悪く言えば普通?平凡?そんな言葉が似合う感じ。
でも、ふとした時の笑顔は可愛らしくて小動物みたいだた。
思わず頭撫でたくなる感じ?

俺や八、雷蔵は同じクラスだから兵助と秋原の仲を取り持とうとしたんだけど、そんなの普通すぎて面白味がないとおもわねえ?
だからさ、兵助にこっそり「ラブレターとか、憧れるってこの間言ってたぞ」って嘘ついてみた。
そしたらあいつ本気にしてさ、次の日には秋原の下駄箱にラブレター入れてるの見たってわけさ。

思わず大爆笑したのは、ご愛敬ってやつってことで。

そんで、兵助の恋路を応援しようってんで雷蔵と八にも声をかけて放課後裏庭に行ったんだけど。

「ごめん」
「えっ!?」

振られてやんの―――――!!!
大爆笑なんだけど!本当に面白すぎんだけど!!
腹筋割れる!ガチムチ嫌―――!!

裏庭の生垣のとこに身を隠してぴくぴく震えてたら雷蔵と八に最低って目で見られた。
いや、ごめん。そんな目で見ないで雷蔵。(八は別にどうでもいいけど)
真面目に兵助の恋を応援しようとしたら「大豆アレルギー」の言葉。

へ?秋原って大豆アレルギーなの?
・・・・・・うわー、兵助ご愁傷様。
それは、何と言うか。
付き合っても大変そうだな。主にキスとかそこら辺で。

「じゃ、じゃあ学校では豆腐食べない!」
「でも朝と夜には食べるんでしょう?」
「じゃ、じゃあ朝も食べない!夜だけにする!」
「うーん、でも毎日食べてるのよね?」
「じゃあ!・・・じゃあ毎日から四日に減らす」

これには俺も雷蔵も八も驚いた。
だってさ、あの兵助だぜ?
あの兵助が、豆腐大好きむしろ愛してるな兵助が!
食卓に豆腐がなければ禁断症状が出るあの兵助が!!

あの子と付き合うために今まで毎日毎食食べてた豆腐を週に四日、それも夜だけって決めたんだぜ!?
これは革命だ。きっと明日は夏にもかかわらず雪が降る。
つまり奇跡が起きたってことさ!

秋原も兵助の豆腐への愛情を知っていたからか酷く驚いていて、戸惑いながらもオッケーの返事をしていた。
まぁ、よかったじゃねーか兵助。
だがな、豆腐よりも愛してるってセリフはちょっとどーかと思うけどな。

くしくもこの時、俺と秋原の深いため息が重なったことを誰も知らなかった。







三郎。
三郎?
三郎。
 

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