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◆ 02

ねぇ雷蔵、三郎、八左エ門、兵助、勘右衛門。一緒に町に行く約束は?
・・・そっか、うん。分かった楽しんでおいで。お土産は良いよ。
俺はまだ宿題があったから、そっちを片づけることにするよ。
うん、いってらっしゃい。

ねぇ立花先輩、潮江先輩、七松先輩、中在家先輩、伊作先輩、留先輩。
今度実習について教えてくれるって言ってましたよね?いつ教えてくれますか?
・・・そうですか、分かりました。いえ、無理を言ってすみません。気にしないでください。
また機会があれば、教えてください。それじゃあ失礼します。

ねぇ孫兵、三之助、左門、作兵衛、藤内、数馬。一緒にお茶しようか?
この間一緒にお菓子食べようって話してたでしょう?
・・・あ、そうなんだ?そっか、それなら仕方ないね。またにしようか。
ううん、楽しんでおいでよ。ほらいっといで。

ねぇ喜八郎、滝夜叉丸、三木ヱ門、タカ丸さん。おしゃべりしよって話してたでしょう?
お話しませんか?ほら、久しぶりだしお菓子食べながら縁側でのんびりしよう。
・・・ああ、うん。へー、そうなんだ。そっかそっか、それはよかったね。
それならこのお菓子を上げよう。一緒に食べるといい。私は昨日少し食べちゃったから、それは上げるよ。

ねぇ三郎次、左近、久作、四郎兵衛。一緒に散歩をしないか?
この間綺麗な場所を見つけたと言っていたろう?案内してくれないか?
・・・そうか、気にするな。うん、うん。それは良かったじゃないか。それなら早く行かねばね。
案内はまた今度頼むとするよ。今日はめいっぱい遊んでおいで。ほら、お行き。




ああ、ああ。・・・寂しいなぁ。
みんなあの人と一緒にいるのが忙しいみたいだ。
俺と約束してたことなんて、あの人の前には足元にも及ばないのか。
頭の片隅にすら置くことを許されないのか。
そうか、そうか。
分かっていたことだけれど、現実は残酷だなぁ。

しょんぼりと部屋に帰る途中、前からドタドタと走る音がした。

「伊織先輩ーーー!!」

一年生の子たち。確かは組の子たちだったはず。
こっちに向って走ってくる。

「先輩!今お暇ですか!?」
「あのあの!一緒にドッジボールしませんか!?」
「僕たちドッジボールしようってなったんですけど」
「よかったら一緒に遊んでくださいー!」
「先輩と一緒に遊びたいですー!」
「先輩ダメですか!?」

必死になって言葉を紡いでいく子供たち。
口々に話してくるから聞き取りにくいけれども、何とか聞き取れた言葉で、自分の都合のいいように解釈すると、これは遊びに誘われている?


嬉しい


俺は久々ににっこりして「よし!遊ぶかー!」っては組の子たちの頭を撫でくりまわした。
みんなキャッキャしてて凄く可愛い。
うん、俺にはまだ一年生がいる。それだけで、心救われる。

一年生とたくさん遊んで、心があったかくなった。
六年生も五年生も四年生も三年生も二年生も、みんなみんな俺のことなんて忘れているけれど、一年生は忘れないでくれた。
それだけでいいじゃないか。うん。
神も俺から全ては奪わなかった。一年生だけは残してくれていた。
よかった、よかった。



それでも胸をよぎる不安は取り除けないけれど。







 

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