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役者は劇中に舞台裏を見ることはできないのです
久しぶりに鉢屋たちと話をした。
あまり話すことがなかったが、それでも友達としてはそれなりに付き合いがあった連中だったから、やっぱり嬉しい。
まるで光が当たったかのような感覚。
今までは薄暗い場所にいたかのように、今がとても明るく感じる。
何故だろう?
疑問はあるが、今はそんなことどうでもいいことだ、と久しぶりの友達との話を再開した。
「・・あれ?そういえば、伊織はどこに行ったんだ?」
キョロキョロと周りを見回すが、あの細身のすらっとした姿が見当たらない。
伊織の髪はふわふわの癖っ毛なのに、それでも指通りがいいという不思議なものだ。
そしてその髪色も不思議で、日本人であるというのに、真っ黒ではなく、少し青味がかった黒色をしている。
あれが烏の濡れ羽色というのだろうか?
艶のあるあの髪は、一度見たらなかなか忘れられないし、見当たらないわけがないというのに。
何故だろう、見当たらない。
「伊織?」
「・・・ああ、五年は組の」
「ああ!秋原伊織か!あいつまだ学園にいたのか!?」
「は?いたに決まっているだろう?」
鉢屋がまるで伊織が学園をやめたかのように言うから、少し呆気にとられてしまった。
だっていくら組が違うといっても、毎日同じ屋根の下で勉学に励み、寝起きしているのだから。
それなのに。
「え?伊織まだ学園にいたって本当!?」
「おい!それ本当なのか!?」
「勘右衛門!どうなんだよ!」
みんな何を言ってるんだ?
おかしいだろ。
「いるよ。まだは組に在籍している」
俺は笑うしかなかった。
だってそうだろう?
まるで伊織を五年生になってから見たことがないみたいに言うのだから。
続
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