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表と裏 04

どこか釈然としない。
何かがおかしい。
それは分かっている。
頭が痛くなるほどの違和感。
それでも俺達はそれを見つけられない。
分からない。



盲目とはつまりそういうこと



久しぶりに会った勘右衛門から、まだ伊織が学園にいることを聞いた。
五年は組に在籍するという、秋原伊織。
四年の最後あたりから姿を見ることがなくなって、それから今までずっと見かけることも声を聞くこともなかった存在。
四年の最後までの約四年間、仲良く、それはもう仲良くしてきた。
仲がいいというよりは、俺が、俺たちが彼に依存していたと言ってもいいくらいにべったりだっただけなのだが、それでも伊織もそんな俺たちを邪見にしたりなど、ただの一度だってなかったから、伊織も俺たちを好きなのだと思っていた。
だけど、四年の最後のあの日から伊織は姿を見せなくなった。
探せど探せど見つからない。
何処を探しても見つからない。
一日伊織の部屋で待ったことだってあった。
は組の教室まで行ったこともあった。
それでも伊織を見つけることが出来なかった。

そしてもっと不可思議なことがある。
あれだけ俺達は伊織に依存していたというのに、勘右衛門に名を聞かされるまで、伊織の存在を忘れてしまっていた。
四年生までは覚えていた。
そうだ、五年生になってから、五年生になった瞬間から、私達は伊織を忘れていた。
思い出す事もなかった。
今の今まで。

雷蔵は何か悩みがあればその都度伊織の元に行っては相談していた。
兵助は休みの度に伊織と一緒に町に出かけ豆腐を食べて回っていた。
八左エ門は伊織を見かけると犬のように走り寄って何かとはしゃいでいたし。

私は一時と伊織の傍から離れまいとしていた。
食事へも一緒に行ったし、教室が違えど休み時間になったら伊織の傍へと走り寄った。
風呂も伊織なら顔を見られてもいいと思ったから一緒に入っても良かったし、寝るのも部屋が違うから仕方がないけれど、たまに夜中に忍び込んだりもした。
それくらい伊織を好いていた。
好くなんて言葉じゃ表わせられないくらいに、伊織に依存していた。
自覚はしてたし、これじゃダメだと思ってたけれど、それでも離れられなかった。

それなのに、私達は、私は先日まで伊織を忘れていたというのか。


いったい私たちに何が起こっているというんだ?






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