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ややこしい関係 3【現パロ】

「留さんはバカだ」

眉間に皺をこれでもか、と寄せた伊作は事実を告げた俺にそう言った。
その瞳には怒りなど見えず、ただただ悲しみだけが宿っている。
伊作は俺の気持ちを知っていた。
そして俺がとった行動も今全て話して知っている。
俺が伊織に嘘をついて、騙して、手に入れたこと。
それを知った伊作は酷く悲しげに顔を歪ませて、一言なんで?と俺に告げた。

なんでなんだろうな、伊作。
俺、ただあいつのこと好きになっちまっただけだったのにな。
だけどあいつには好きな人がいたんだ。
俺、駄目な男だからさ。
好きなやつを他の男になんてやりたくなかったんだよ。
俺の腕の中に閉じ込めてしまいたかったんだよ。
俺の隣にいてほしいって願っちまったんだ。

あいつが、伊織がいないと駄目だったんだ。

笑って言ったつもりだったけど、酷い顔をしていたらしい。
伊作は泣きそうになりながら、バカだよって。
そうなんだ、俺バカなんだよ。って返したら、もう一度バカって言われちまった。


伊織、伊織伊織伊織伊織伊織。
どうすればよかった?
俺、どんな行動をとればよかった?
伊織の恋の応援をすればよかったのか?
伊織が幸せならそれでいいって、友達として隣にいられればそれでいいって、笑って身を引けばよかったのか?
お前の隣に俺の知らない男が立って、お前と笑いあってんのを傍で見ていればよかったって?

そんなことできるわけねーだろ!
想像しただけで腸が煮えくりかえりそうだってのに!

下っ腹に黒く淀んだ、ドロドロした感情が溜まって、身動きが取れなくなりそうで。
それでも、お前が愛しいのだと、言う俺は心底駄目な男だ。
お前の幸せを第一に考えられない俺は、お前の傍にいない方がいいんだろうな。

そこまで考えて、だけど全てを否定するように、俺は今日もお前の隣に並ぶのだ。



謝罪なら、腹の中でいくらでも。






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